石垣教授 略歴

石垣　尚男 愛知工業大学教授　 東京教育大学（現・筑波大学）出身。 名古屋大学医学部研究生をへて、 1994年医学博士。 専門は「スポーツ視覚学」　 スポーツと視覚、認知の研究 ・監修 「見るチカラを実践で鍛えるDS眼力トレーニング」 （任天堂） シャッターゴーグル「Visionup」 （アプリシエイト） ・著書 「眼力の鍛え方」 （新潮社） 「一流選手になるためのスポーツビジョントレーニング」 (講談社） ・メディア出演 世界一受けたい授業 （日本テレビ放送網） ...など多数

石垣教授より ごあいさつ

こんにちは、石垣です。
スポーツと眼の研究をしています。

眼といえば、
視力を思い浮かべると思います。
スポーツでは視力も大事ですが、見るチカラはそれにもまして重要です。
野球なら高速で動くボールを捉えたり、サッカーでは瞬間的にパスコースを見つけるチカラのことです。

スポーツでは、見るチカラは
日常生活よりも高いレベルが求められるので、
スポーツに必要な見るチカラという意味で「スポーツビジョン」と呼び、
日常生活では眼力（メヂカラ）と呼んでいます。

同じものをスポーツと日常生活で使い分けています。
この講座では、視力をはじめとして見るチカラについて知識を深めていただくとともに、日頃の生活に役立つお話をします。

ぜひお楽しみください。

「見るチカラ」とは

見るチカラとは動体視力、眼球運動、周辺視野、瞬間視などを総称したチカラのことです。

視力のことではありません。また視力のよしあしとも関係しません。

小学生の頃に急速に発達し、20歳頃がピークで以降、加齢とともに低下します。中年で小学生レベル、高齢者で幼稚園児レベルになりますが、どの年齢でもトレーニングによってレベルアップします。

動体視力
動くものをはっきり見る能力です。視力とは別の能力です。
投手の投げたボールをベース近くまで見るチカラなどが代表的なものです。

眼球運動
眼球をすばやく動かす能力です。パソコン作業では頻繁に眼を動かしています。
眼球運動も加齢とともに衰えます。
眼球を動かす筋肉は骨格筋なのでトレーニング可能です。

周辺視野
視線を固定したとき、視野の周辺で捉える能力です。
バスケット選手がドリブルしながらノールックパスをするとき、味方選手を視野の中に捉えています。
車の運転でも周辺視を使っています。

瞬間視
瞬間的にパッと見て多くの情報を得るチカラです。
眼の能力というより脳の能力です。
サッカーでドリブルしながら顔を上げて一瞬で敵味方の位置を捉えるような瞬間的な把握力です。

眼と手の協応動作
眼で捉えたものに正確に手で反応する能力です。
見えても動作の正確さが必要です。野球のバッティングは眼と手、サッカーのドリブルは眼と足の協応動作です。

コラム目次

・視力編▼
-目と眼 -見ると視る -見えることの不思議 -視力はフォーカス -三歳児は大人の視力 -アフリカ人のスーパー視力 -環境に適応する視力 -タカの視力 -魚の視力はピンボケ -DHAは視力をよくする -眼にいい食べ物 -バテても視力は落ちない -徹夜しても視力は落ちない -老眼は人生順送り -パソコンと視力低下 -子どものゲームと視力低下 -子どもたちの視力 -視力と近視 -高身長化と近視 -近視はトレーニングで回復しない -プロ野球選手の視力 -Jリーガーの視力 -野球では視力不足はハンディ -スポーツ選手の視力矯正

・メヂカラ編▼
-メヂカラは情報収集力 -メヂカラは生き抜くためのチカラ -メヂカラの発達 -子どもの頃の運動 -大人の能力差は子どもの頃に決まる -メヂカラの衰え -蚊やハエが追えなくなる -男性がわずかにいい -メジカラとスポーツビジョン -動体視力　新幹線の駅名が見える -眼球運動が主な要因 -高齢者のノロノロ運転 -チラッと見る瞬間視 -4つまでは即座にわかる -フラッシュ暗算の達人も -眼球運動はトレーニングできる -眼の簡単トレーニング -眼が動きだすまで -スポーツ選手の視野 -有効視野という考え -バレーボール選手の視野 -眼と手の協応動作 -眼と足の協応動作

・眼の構造編▼
-眼球の大きさ -角膜 -水晶体 -瞳孔 -まばたき -まゆ毛 -ピント合わせ -老眼 -眼の動き -2つの眼 -利き眼 -利き眼の有利不利

・スポーツ編▼
-ボールは止まって見えるか？ -ボールから眼は切れる -インパクトの瞬間は見えない -ミットを見て投げろ -3割打者と2割5分の違い -選球眼がバッティングの決め手 -剣道の目付け -ボクシングの視線 -集中とまばたき -ボクサーのシャワートレーニング -先を読む -左顔を向ける -左利きの野球選手の有利・不利 -宮本武蔵は左利き